そうして漢字を教え始めた数日後のことだ。Mが唐突に喋り始めたんだ。
「あのとき、俺が刺したんだ」
俺はそのとき、事件について詳しく聞こうとしていたわけではなかった。だから、これには「そうなの?」と立会人も驚いていた。
「なんで? 刺したっていう証拠はある? ナイフで刺したの?」
「うん、そう」
「持っていたの?」
「そう」
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source : 週刊文春 電子版オリジナル