室町時代に能楽を大成させた世阿弥(ぜあみ)は、同じ劇作家として、よくイギリスのシェイクスピアと並び称される。世阿弥はシェイクスピアより200年前に活動した人物だが、シェイクスピアがその生涯に創作した戯曲が約37作であるのに対し、世阿弥が創作・改作した作品も50曲前後。長短はあれど作品数だけをとれば、両者に遜色は無い。

 ただし、世阿弥は劇作以外にも芸能論・芸術論をいくつも残しており、その点は独自の演劇論を書き残さなかったシェイクスピアとは対照的だ。なかでも世阿弥の有名な芸能論『風姿花伝(ふうしかでん)』は、現代に生きる僕らが読んでも、十分に感銘をうける内容をもっている。

 たとえば、よく僕らが人気の芸能人を語るときに「あの人には花がある」なんて言い方をする。しいて言えば「魅力」とか「個性」とでも訳すしかない芸能関係独特の言葉だが、あの「花」という言葉を最初に使ったのも、世阿弥である。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

週刊文春 電子版 PREMIUMMEMBERSHIP 第1期募集中 詳しくはこちら

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

スクープを毎日配信!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 1

  • 2

source : 週刊文春 2024年2月8日号