警察官をしていると、ときおりとんでもない動機の事件というものに出会う。
例えば、俺が所轄にいた頃に、こんなことがあった。
ある日、管内で車のひき逃げ事件があり、俺は所轄の捜査員として現場に急行した。被害者は幸いにも大きなけがをしておらず、意識もある。現場の道路は見通しが良く、とても人が跳ね飛ばされるような場所には見えなかった。
俺は当て逃げの現場は初めてで、被害者に状況を聞いた。
「おかしいな、これ。狙われたんじゃないの」
「そうかもしれないですね」
そこで当て逃げをした車のナンバーをNシステムで追跡したところ、あっさりとホシを割り出すことができた。
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source : 週刊文春 電子版オリジナル