「将棋界の一番長い日」とは名人挑戦を懸けたA級順位戦のリーグ戦最終日のことだ。今年は2月の29日に静岡市の「浮月楼」で、A級棋士10人による一斉対局が行われた。

 この段階で名人挑戦の可能性を残すのは6勝2敗の豊島将之九段を筆頭に、5勝3敗の永瀬拓矢九段と菅井竜也八段。最終局に豊島―菅井戦の直接対局があり、対局現地や東京、大阪、名古屋で行われた解説会も大いに盛り上がった。

 A級順位戦にはタイトル戦にも引けを取らないドラマがある。挑戦者は誰か、無念の降級2人はどうなるのか? その光と影がファンの心を打つのだ。

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source : 週刊文春 2024年3月21日号