読売が3月4日付朝刊で特報したことに始まった日産自動車の下請けいじめ報道は、およそこんな中身である。
日産は完成車部品の製造委託先36社に、発注時に決めた金額から「割戻金」として一部を差し引いた代金を支払っていた。減額は2021年1月から23年4月で約30億円にのぼり、下請法違反にあたる――。
話は少し変わって今年の春闘は異例の展開を見せた。昨年10月にサントリーホールディングス(HD)が早々に7%の賃上げを表明。その後、キリンHD、伊藤忠商事、三井不動産、みずほフィナンシャルグループなどが続いた。今年の集中回答日は3月13日だが、大手企業が昨年を上回る賃上げに踏み切ることは早い時期から既定路線となっていたのだ。今後の焦点は、こうした賃上げの流れが中小企業にも及ぶのかというところにある。
冒頭の日産の下請けいじめはそんなタイミングで表面化したので、これと春闘と結び付けた報道が散見される。例えば日経の8日付朝刊。一面トップの前文の最後にこんなことを書いている。
「成長と分配の好循環の実現は中小企業の賃上げがカギを握る。原材料費や人件費の上昇を価格に上乗せする価格転嫁の促進は欠かせない」
書いてはいないが、こう続けたいのだろう。「それなのに日産は下請けに対して支払いを減額した。賃上げムードが高まっているさなか、こんな悪行が蔓延っていてはならない。だから今後こんなことが起きないよう、今日はこの記事を一面トップにします!」
新聞は記事を大きく取り扱う場合に、その理由らしきことをくどくど書く癖がある。「意義付け」と呼ばれるやつだが、この手の価値観の押し付けはご勘弁願いたい。
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source : 週刊文春 2024年3月21日号