「出版社は黒人の本を求めてるんだ」

「私じゃダメなのか? 黒人だぞ」

 今年のアカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』の主人公、セロニアス・エリソンこと通称モンク氏はアフリカ系の作家。父は医者、自分は名門ハーヴァード卒。大学で文学を教えている。書いているのはギリシア悲劇を現代に移した小説で、高尚すぎて売れない。モンクのエージェント(アメリカの作家は芸能人のようにエージェントと契約する)は「もっと黒人っぽい小説を書いてくれ」と言う。

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source : 週刊文春 2024年4月4日号