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 この連載をまとめた書籍「ホンボシ 木原事件と俺の捜査秘録」が6月25日に発売となります。

 

 連載から大幅に加筆修正を加えた完全版! 未公開エピソードもあります。


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 警視庁捜査一課に取調官として18年間在籍していた俺は、上司の推薦で取調べの「伝承官」というものに任命されている。伝承官は刑事部から任命を受けるもので、特に試験などがあるわけではない。取調官としての実績を評価してもらえたということなのだろう。

 伝承官に任命されてから、刑事になる前の捜査講習での講演をときどき頼まれることがあった。講演では捜査における基本的な書類の書き方、調べのイロハなどを話すのだが、そうした機会をもらったとき、いつも俺がその基本に付け加えていた要素がいくつかある。

 その一つは、

「刑事とは、料理店に行って料理人に『隠し味』は何かを聞くような仕事である」

 という基本姿勢だ。

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source : 週刊文春 電子版オリジナル