野球で言えば、新聞の一面コラムの筆者は鉄腕投手のようなものだ。どんなニュースが相手だろうと、連投を厭わない。だが投球術がパターン化するのが玉に瑕か。

 9日朝刊もそう。水俣病の地元団体と懇談した際、遺族の話の途中でマイクを切った件に関し環境相が地元を再訪して謝罪した。各紙の筆者が選んだパターンは次の通り。

 (1)辞典を引く。読売の「編集手帳」氏は「訴」を含む言葉を漢和辞典で調べて、〈哀訴〉〈愁訴〉〈泣訴〉の定義を記す。続けて「被害を訴える人の悲哀や愁い、涙を軽んじる態度というほかはない」と環境省側の対応を断じる。

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source : 週刊文春 2024年5月23日号