5月23日、政府の経済財政諮問会議は、高齢者の定義を65歳から5歳延ばすことを検討すべきとした。70歳まで働く社会は目前だ。働き続けられる健康な体を作る本連載の第2回は、糖尿病を招く5大タブーに迫る。
〈糖尿病。最初はすぐに改善すると思っていたしここまで酷くなるとも思ってない。改めてその恐ろしさを痛感した〉
ブログでそう吐露したのは、糖尿病による感染症の影響で、今年5月に右腕を切断した元プロ野球選手の佐野慈紀氏(56)だ。
糖尿病は、自己免疫が要因のⅠ型と主に生活習慣が原因のⅡ型に分類される。Ⅱ型は、糖と食物繊維でできている炭水化物などの過剰摂取によって上がった血糖値が下がらなくなる疾患だ。京都女子大学の今井佐恵子特任教授が解説する。
「糖尿病となり高血糖の状態が続くと、血管が傷つき、脳梗塞や心筋梗塞など血管系疾患の発症リスクが増大します。また、糖尿病が悪化すると腎臓の機能が低下して(糖尿病性腎症)、人工透析が必要となる。血管がボロボロになり神経障害が起きて、手足の切断や、糖尿病網膜症による失明のリスクも生じます」
厚生労働省の「人口動態統計」(2022年)によれば、国内の糖尿病患者は外来で約21万人。また、同省の「国民健康・栄養調査」(2016年)は「糖尿病が強く疑われる者」が約1000万人いると試算している。
70歳でも元気に働くためには、糖尿病にならない体づくりが必須となる。そのために意識すべき5大タブーを専門家に取材した。
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source : 週刊文春 2024年6月6日号