認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)は、50代からちょっとした物忘れなどの兆候が現れる。だがMCIは生活習慣を変えることで、改善可能だ。国民的病である認知症に至る前に、できる対策は何か、徹底取材した。
働き盛りの世代にとって、認知症は対岸の火事ではない。40、50代から認知機能は徐々に衰え、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)を経て、認知症を発症するケースが多いのだ。MCIとは、記憶力や注意力などの認知機能に低下が見られるものの、日常生活に支障がない状態を指す。
今年5月、厚労省は65歳以上の認知症とMCIの有病者の合計が2050年に1200万人を上回ると発表した。日本認知症予防協会の佐々木誠代表理事が語る。
「認知症予防で重要なのは、MCIの段階での早期発見(気づき)と予防です。MCIに気づくきっかけとして、昔の記憶ではなく、最近の記憶を忘れることがあります。朝食を取ったのに食べた記憶がないなど、エピソードそのものが抜け落ちているのが代表例です。MCIの特徴や原因をよく理解して、50代、60代のうちに対策を打つべきです」
一般的に早期の発見で治療を行えば、16〜41%の人が健常に戻ることが可能だという。
しかしながら、現代社会は、認知機能を低下させるような生活を送っている人が多いと専門家は危機感を露わにする。そこで、「認知症を招く5大タブー」を取材した。
そもそも、認知症やMCIを発症する要因とは何か。
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source : 週刊文春 2024年8月29日号