不眠は生活や仕事の質を低下させる大きな要因。「自分は寝不足でも平気だ」と放置してしまうと、がんや認知症にも発展してしまう。コーヒーの飲み方から冷房の使い方まで、識者に聞いた不眠を呼ぶ生活習慣とは。
寝苦しい夏の夜がはじまった。暑さから夜中に目が覚めたり、普段より早く起きてしまうなど睡眠が乱れがちになる。久留米大学の内村直尚学長が語る。
「寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めてしまう、朝早くに起きてしまう。これらはすべて不眠という“症状”です。これらが原因となって、日常生活に影響が出て生活の質が低下する病気のことを不眠症と言います。症状が出たときに、素早く原因を解消することが、不眠症にならないために最も重要です」
不眠は、様々な疾患リスクを増加させる。ひまわり医院(東京都)の伊藤大介院長が言う。
「寝入ってから目が覚めるまでのサイクルがバラバラの生活を続けていると、乳がんや大腸がんのリスクが高まることが確認されています。さらに、8年以上慢性的に不眠の人は、そうでない人に比べると高血圧のリスクが21%、Ⅱ型糖尿病のリスクが51%高くなります」
また、脳卒中や冠動脈疾患との関連も指摘されている。さらにうつ病や、認知症に発展する可能性もあると語るのは、山王病院(東京都)で心療内科部長を務める大谷真医師である。
「『ちょっと眠れていないだけ』と軽く考えていては心身からの重要なサインを見逃す可能性があります。特に、不眠とうつ病には深い関係があります。不眠の人はうつ病になりやすく、うつ病の人は、不眠の症状が出やすいのです。50代、60代の働き盛りの方たちは、日々様々なストレスにさらされていますから、睡眠に問題が生じやすい。決してそれを侮ってはいけません」
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source : 週刊文春 2024年7月25日号