2005年に、「渋谷ではたらく社長の告白」という本で、会社の創業から上場、ネットバブル崩壊、悲願の黒字化までを書いた。2013年には、「起業家」という本に、社長進退を賭けたメディア企業への大転換、Amebaブログの立ち上げを書いた。

 当時は激動の時代。まだ記憶が生々しいうちにと、リアルタイムで進行中のベンチャー社長業について執筆し、本という形で残したつもりだ。あの頃に比べれば、ここ十余年の日々は業績も概ね順調に推移しているし、進退を賭けるようなこともしてないし、会社を揺るがすような大事件も起きてない。本に書くこともなさそうだな、平穏な毎日が続いているな、そんな風に思っていた。

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source : 週刊文春 2024年9月5日号