新幹線、飛行機での長時間の移動に備えて、途中まで見てハマっている韓国ドラマをいつも用意している。それさえあれば、時間がワープのように過ぎ去り、あっという間に目的地に到着出来るから。新しく見る映画やビジネス本などではこうはいかない。面白くなるまで待つのが移動のストレスとマッチしてしまい、時間を長く感じてしまう。
とはいえ、本音では、長い韓国ドラマを完走するたび、もう無闇に1話目を再生してはダメだといつも自分に言い聞かせている。もちろん、とんでもない時間を浪費してしまうからだ。そもそも旅用に見始めたはずだったのに、家の中で止まらなくなり深夜まで延々と見て、睡眠時間を削ってしまっている。
私がこっそり韓国ドラマを見ていることは、インターネットには察知されている。アルゴリズムが「絶対ハマる韓国ドラマ10選」「泣ける韓国ドラマTOP5」といったまとめ記事を推奨してくるので、ついそこに掲載された作品をチェックしてしまう。夜の会食でも、皆さんお好きなようで韓国ドラマの話題は鉄板ネタだ。会食相手に教わった作品をメモして帰り、どんなものか、1話の最初だけでもと、再生する。そしてそのまま沼に引き摺り込まれてしまう。
ハマったあとは、ドラマの中盤から終盤にかけて、間延びする時間を入れてくるのも韓国ドラマのよくある手口だ。でも悔しいけど見ざるを得ない。そこに至るまで大量の時間視聴し、登場人物たちに感情移入してしまっているので、ぐだぐだの時間ですらも愛おしいから仕方がない。
世界水準で通用する理由
私の場合、旬の作品を見ているとは限らないんだけど、今年に入って最後まで全部見終わった作品だけでも、「ブラッドハウンド」「イ・ドゥナ!」「ムービング」「弱いヒーロー」「財閥家の末息子」「ザ・グローリー」「カジノ」「涙の女王」「社内お見合い」「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。しかも、どれもこれもとんでもない面白さだった。
決して、暇なわけではない。実際、ABEMAの社長であり、且つ総合プロデューサーという立場なので、ニュース、スポーツ、ドラマ、バラエティ、アニメ、と人一倍ABEMAのオンエア番組を見ているし、チェックしなければならないものが多すぎて、本当は24時間では足りてない。なのに、移動時間をワープするために韓国ドラマを見ているのが、自分でも悔しい。しかし、抗えない。それだけレベルが高いということだし、我々もそこから学ばなければならない。
ドラマだけでなく、映画もK-POPも、なぜ韓国コンテンツはこんなにも世界水準で通用するようになったのだろうか。10年以上前から、脚本の練度の高さなどはレベルが違っていたけど、それでも日本のドラマとそこまでの差はなかった気がする。本当に差がついたのはつい最近ではないだろうか。
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source : 週刊文春 2024年9月12日号