18歳で上京したとき、東京の情報はほとんどなかった。『東京だョおっ母さん』という歌謡曲で橋が20本かかった川があることを知った程度だった。
店で「これなんぼでえ」と聞いても理解されず、「はよとらげんとめげてしまうが(早く片づけないと壊れてしまう)」と言えば不審そうな顔をされ、そのたびにバカにされてたまるかという意地が芽生えた。
それから6年ほどたち、友人のアパートに遊びに行ったときも、その気持ちは変わらなかった。
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source : 週刊文春 2024年9月12日号