こんにちは。いつもご愛読、ありがとうございます。

 先月から始まった石井妙子さんの連載「ウェンカムイ 木嶋佳苗の生痕」に続いて、今号から新たにもう一つ、ものすごく楽しみな連載が始まりました。直木賞作家の河﨑秋子さんの「夜明けのハントレス」です。

 私が衝撃を受けたのは、河﨑さんが昨年上梓された「ともぐい」です。その直前に、長年の友人である写真家の初沢亜利さんと女優・作家の中江有里さんのご夫妻と食事をしていた時のことでした。名書評家でもある中江さんに「最近読んで面白かった本、何ですか?」とお聞きしたところ、まっさきに出てきたのが「ともぐい」だったのです。

 翌日、早速買い求めて読み始めたところ、久々にページを捲る手が止まらず、あっという間に読了したことを鮮烈に覚えています。熊爪という主人公の魅力的なこと! 未読の方にはぜひ、お勧めします。その後、同作で直木賞も受賞されました。

 そんな河﨑さんに連載小説をご寄稿いただけそうだ、という担当者からの話を受け、私も打ち合わせの場に一度同席し、ご挨拶をさせていただきました。年齢こそ私が一つ上でしたが、私なんぞよりもはるかに落ち着いた雰囲気をお持ちで、何を言っても、どんなお願いをしても、受け止めてくれそうな風格を感じました。この方があの「ともぐい」を書かれたのか、と感慨深いものがありました。

 その打ち合わせから約5カ月、待望の新連載がいよいよ始まりました。エゾ鹿を仕留める印象的なシーンから引き込まれ、一気読みすること請け合いです。

 小説とノンフィクション、両方に毎週絶対読みたい連載が載っている雑誌、というのはひとつの理想像ですが、今回の「夜明けのハントレス」と「ウェンカムイ」は、間違いなくその期待に応えるものになっていると思います。自民総裁選レポートや熱愛スクープだけじゃない「週刊文春」の魅力を、ぜひ秋の夜長にご堪能ください。

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source : 週刊文春