ドナルド・トランプ前大統領は自分の集会に多数の支持者が集まることが自慢です。ですから、「参加者は疲労と退屈から早々と会場を出る」などと言われたら、むきになって反論します。先日開かれたテレビ討論会で、このトランプ氏の性格をよく知っているカマラ・ハリス氏は、集会の様子をこう描写してトランプ氏を挑発しました。

 案の定、トランプ氏は延々と反論し、結果的にハリス氏を追及する時間が足りなくなってしまいました。

 今回の討論会はハリス氏の挑発に乗ってしまったトランプ氏の敗北というのがアメリカのメディアの大方の評価ですが、アメリカでは11月5日の投票日を前に、一部の州では早くも郵便投票が可能になっています。どういうことなのでしょうか。

 日本の場合、郵便投票は、「郵便等による不在者投票」という形で、投票日に投票所に行くことが困難な障碍者や介護を受けている人だけが可能です。

 しかしアメリカでは、有権者登録さえしておけば、誰でも郵便投票が可能なのです。州によっては、「郵便投票したいから投票用紙を送ってくれ」と請求した人にだけ事前に投票用紙を送るところもありますし、有権者登録した人全員に一斉に投票用紙を送るところもあります。州によって、全く方式が異なるのです。

 今回も各州で投票用紙の発送が順次始まりました。受け取った人は、マークシート方式の投票用紙に印刷されている候補者の名前に印をつけ、サインして郵送します。

 基本的に選挙管理委員会は、受け取った投票用紙を、投票日まで保管し、投票が締め切られてから開票します。開票の際には、投票用紙のサインを、事前に有権者登録したときのサインと照合して本人のものかどうかを確認します。

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source : 週刊文春 2024年9月26日号