教育に関係するようになってから、私が注意していることがある。それは、

「皆さん、本を読みましょう」

 という言葉だ。

 大学でも、附属の高校、中学に行っても、これを口にしたとたん、みんなさっとシラける。そして、

「ありきたりのつまんないことしか言わない」

 という冷ややかな視線が私にくる。

 作家としてつらいことだが仕方ない。今まで私は長いこと、読書啓蒙運動に参加してきた。読書推進ナンタラ、という委員会やプロジェクトもやってきた。

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source : 週刊文春 2024年11月7日号