梅雨前線が活動中にもかかわらず30℃超えの日々が続く。湿度が高く食品の傷みが早い時期に増加するのが食中毒だ。その予防法から暑さに慣れていないから起こる梅雨型熱中症まで、すぐ実践したい対処法を特集する。

 

●弁当は1時間以内に食べる

●カレー&味噌汁 室内放置は厳禁

●豚&鶏の安全調理 75℃以上

●しそ、ワサビ、生姜を使え…他

 

◾️下方浩史教授の「90歳まで健康長寿」

初回 血管を柔らかくする

前回 骨卒中を中華料理で防ぐ

「梅雨は、食中毒が増える時期です。免疫力の低下した高齢者は、細菌への抵抗力が弱くなっていて食中毒になりやすい。しっかりと対策を打っておかないと命に関わる恐れがあります」

 そう語るのは、老年科専門医で、名古屋学芸大学大学院栄養科学研究科の下方浩史教授だ。これまで、40年以上に渡って老年病(高血圧症や糖尿病、動脈硬化などを指す)の研究を続けてきた。食中毒が発生しやすい環境について、下方教授が指摘する。

「梅雨の時期は、高温多湿の日が増えます。食中毒の原因となる菌が活性化するのは、気温が25〜35℃。加えて、湿度は65〜75%で菌が活発になるため、蒸し暑い梅雨から夏の時期は、食中毒が起こりやすくなるのです」

 

 厚生労働省によれば、2024年の食中毒の発生件数は1037件で、患者数は1万4229人だった。

 食中毒を発症すれば、嘔吐や下痢など、つらい症状が続く。食中毒の原因となるのは、主にどのような細菌やウイルスなのか。

「細菌で怖いのはサルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、ウェルシュ菌、О-157のような腸管出血性大腸菌です。ノロウイルス感染症などではウイルスの感染力が強く、症状も激烈で100%予防するのは難しい。それでも、体力や免疫力が落ちたシニアだからこそ、細菌やウイルスの感染経路を知って、少しでも食中毒を予防する手立てを講じる必要があるのです

 そのためには、細菌などを「つけない」、「ふやさない」、「やっつける」の食中毒予防三原則を守ることが大切だ。そこで、「90歳まで健康長寿」を目指す高齢者のために、食中毒を遠ざける5カ条の鉄則を紹介する。

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source : 週刊文春 2025年7月3日号