数々の映画や少女雑誌で活躍した元子役スターであり、タレントやレポーターとしても親しまれる松島トモ子さん。彼女は、旧満州からの引き揚げ経験者であり、シベリアの遺児でもあった。

 私は昭和20年7月10日に、旧満州の奉天(現瀋陽)で生まれました。B29が飛び交う中、満鉄の病院で生まれたんです。8月8日にはソ連軍が参戦。母は生まれたばかりの私を抱えて、進駐してくるソ連軍から逃げながら生活したそうです。

 終戦後も、日本人の女性がいるとわかったら襲われるというので、母は髪の毛を短く切って、ダブダブのズボンを穿いて。外にも出られず、窓には黒い紙を貼っていたので、私は生後10カ月間、全く日を浴びることができませんでした。もちろん自分では覚えていないんですが、そんなことを母から聞いていたので、今、ガザやウクライナの子どもたちの映像を見ると、「ああ、私の小さい頃はこんな感じだったのかなぁ」と思うんです。

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source : 週刊文春 2025年8月14日・21日号