私は「戦争」という言葉に出会っていない──。「戦争を知らない」コンプレックスを抱えていた──。戦争を語り継ぎ、自ら考えるための「対話」の方法。

片山 お目にかかるのは初めてですが、永井さんのご活動、「哲学対話」は存じておりまして。これはどういうきっかけで始められたのですか。

永井 ありがとうございます。光栄です。私は、人はそれぞれ問いを持っていると思います。ただそれを表現できる場がこの社会には少ないので、互いの声をゆっくり聞きあい、考え、深めていく場として「哲学対話」を開いています。10人から20人ほどで車座になって、2時間ほど聞きあいます。学校や企業のほか、とくに暴力から逃れてきた人々のシェルターや被災地、困難を抱えている人々の場所を大切にしてます。全国どこへでも行きますが、週の半分以上は東京以外で、6件ぐらい現場があります。

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source : 週刊文春 2025年8月14日・21日号