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レアード獲得で逆風の鈴木大地がチームに必要な理由

文春野球コラム ウィンターリーグ2019

2019/01/30
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 マリーンズの補強が一気に動いた。

 1月15日、北海道日本ハムファイターズに所属していたブランドン・レアードを獲得した。日本での実績があり、ホームラン王も獲得したこともある。サードの守備も安定しており、何より長打を望める。長らく貧打に喘いでいた打線の核を担える。補強ポイントに合致する選手だ。ZOZOマリンスタジアムもホームランラグーンを設置して最大4メートルほどフェンスが前にせり出し、そのフェンスも低くなる。長らくチームにいない30本を超えるホームランどころか、タイトルまで狙える。そんな選手がやってきたのだ。

 丸佳浩を獲得できなかったのは確かに残念だった。それでも、同じリーグの強打者がやってくるという安心感の方がある。ジョシュ・レイビンやブランドン・マンといインターリーグMVPに輝いたケニス・バルガスもきた。細川亨もやってきた。まさかマリーンズと試合中に色々あった細川が来てくれるとは思わなかった。補強に関しては「黒字になるって素晴らしい」と言わんばかりの動きを見せてくれている。

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 ただ、レアードを獲得したことで少し気がかりなことがある。鈴木大地のことだ。

キャプテンシーが魅力の鈴木大地 ©文藝春秋

レアード獲得で「大地どうするの」

 2012年に入団し、2013年からはずっとレギュラー。2013年、2016年はベストナインにも輝き、2017年にはセカンドでゴールデングラブ賞も受賞している。守備にケチをつけられることも多いが、守備範囲のボールを裁く技術は高く、また怪我をしないことでずっと試合に出続けてくれる。怪我人が多く毎年誰かしらが離脱するマリーンズにとっては貴重な存在だ。

 何より魅力なのはそのキャプテンシーだ。2014年からキャプテン制を廃止する2017年までキャプテンを務め、ピンチになれば真っ先にマウンドに行き投手に声をかける。勝てば他の選手を連れてライトスタンド前に行きファンと喜びを分かち合う。チームが黒字になったのも、野球の面、ファンサービスの面で大地が引っ張ってくれたからだと思う。だって、We Are!やるためだけにマリンに行きたいって思うから。

 だからこそ、レアード獲得の報が出た時に「大地どうするの」という声が一気に湧き上がった。またコンバートか、いや、ついに控えか、しかしスタメンで使ってほしい……一人補強しただけでこんなに悩むことになるとは思わなかった。

 実際、2018年、序盤から大地の調子は上がらなかった。5番を主に打っていたが、交流戦まで打率が上がらず、打順も徐々に下がっていった。打球が上がらず、チャンスでゴロを打つシーンも目立った。外野席からはチームで一、二を争う歓声が上がる一方、「聖域」などという陰口がファンから聞こえてくる。ちょうどドミンゲスがホームランを連発していたころだ。

 しかし交流戦が始まると、大地は調子を上げてきた。終わってみれば打率は2割6分6厘、ホームラン8本を記録。9月から10月までの間に5本のホームランを固め打った。離脱することなく143試合に出場した。

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