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G20で「エレベーターつけたのは大きなミス」発言の安倍首相、その他の失点とは

2019/07/05
note

義偉 官房長官
「全く問題ない発言だ。大阪城の歴史的価値と復元の経緯に触れたものであり、批判されるものではない」

時事ドットコムニュース 7月2日

 こちらもいつもの発言。菅氏が「問題ない」と言えば問題がなくなる。

G20の「目玉」は中国との関係改善だったが……

安倍晋三 首相
「来年の桜の咲く頃、習氏を国賓として日本にお迎えしたい」

朝日新聞デジタル 6月27日

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 とはいえ、G20サミット自体は無事に閉幕した。政府関係者は「全体として、最低限の目標はクリアできたと思う」と振り返っている(日経ビジネス 6月30日)。

 安倍首相がG20サミットの「目玉案件」と想定していたのが中国との関係改善だったという。6月27日夜、中国の習近平国家主席と会談を行い、日中関係を「永遠の隣国」と位置づけてお互いの重要性を確認したという。その際、安倍首相は習氏を国賓として迎えることを提案し、習氏は「中日関係は新しい歴史的スタートラインに立っている。来年春の訪問はいいアイデアだ」と快諾した(時事ドットコムニュース 6月27日)。

 日中首脳会談では経済協力、北朝鮮問題、尖閣諸島周辺での領海侵入事案などについて話し合われた。香港の「逃亡犯条例」改正案に関連して、安倍首相は「人権尊重や法の支配といった国際的な普遍的価値が保障されることは重要だ」と指摘したという。素晴らしい発言だが、そんな首相がエレベーターのジョークで「人権を一顧だにしない」と言われてしまうのが痛い。

習近平国家主席(左)と安倍晋三首相(右) ©Getty Images

 中国との関係改善について、安倍首相の側近は「中国との接近には自民党内でも批判があった。安全保障など懸案もなお少なくないが、早めに関係改善に動いたのは正解だった」と語る(日経ビジネス 6月30日)。右に習氏、左にトランプ氏、中央に安倍首相が並んだ「絵作り」も強い印象を残した。

トランプ劇場にやられっぱなしか

ドナルド・トランプ 米大統領
「もし日本が攻撃されれば、われわれは全軍をもって日本のために戦うのに、アメリカが攻撃された場合、日本は戦う必要がない。これは不公平であり、ばかげたディール=取り引きだ。私は、これを変えなければならないと彼に伝えた」

NHK NEWS WEB 6月29日

 G20サミットはトランプ氏の独壇場だった。対立を深める中国にも貿易協議の再開を合意したり、3000億ドル分の中国製品への追加関税を先送りにしたり、米企業による中国の情報機器大手、華為技術(ファーウェイ)への部品販売を容認する考えを示した。

 議長を務めた安倍首相に対しては「このように素晴らしく、よく運営されたG20を主催した安倍(晋三)首相をお祝いする」とツイッターで称えたが(時事ドットコムニュース 7月2日)、揺さぶりも忘れない。閉幕後の記者会見では、これまで主張してきた日米安保条約の見直しについてあらためて触れてみせた。「不公平な条約だと、過去6カ月間、安倍首相に伝えてきた」とも語っている(朝日新聞デジタル 6月29日)。