厚生労働省が2017年に発表した統計によると、日本人の平均寿命は男性「81.09歳」、女性「89.26歳」と、過去最高を更新し続けている。「人生100年時代」と言われるなか、「QOL(生活の質)」の向上は、現代人にとってますます重要な課題となっている。中でも性生活は、人間らしい暮らしを送る上で避けて通れないテーマだろう。人は何歳までセックスできるのか――かつて「週刊文春」で話題を呼んだ本企画は、これからを生きる現代人にとっても示唆に富む。あらためてここに公開する。


※「週刊文春」2012年7月12日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。

「勃たなくなったんだけど、どうしたらいいんだよ」

 人間誰しも訪れる老いには、人によって残酷なほど明暗が分かれる。それは、取材班が最近お会いした2人の有名人と、“性”の話をした際、顕著に表れた。

 まず、山本文郎さん。元TBSアナウンサーだった山本さんは現在77歳(2014年、享年79で逝去)。今もフリーのアナウンサーとして歌番組などの司会を務めている。彼はよく同世代の友人たちからこんな相談を受けるという。

「勃たなくなったんだけど、どうしたらいいんだよ」

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 山本さんが「薬を処方してもらったらいい」と答えると、大概の人はまず「そんなのはイヤだ」と反応する。自分が老いて衰えたことを認めたくないらしい。

 なぜ山本さんが相談を受けるのかというと、77歳の今も朝勃ちをするし、薬を使わずに奥さんと月2回は性生活があるため、羨ましく思われているからだ。

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自分の漫画をけなされた時のような自信喪失を体感

 次に漫画家の蛭子能収さん。NHKの大河ドラマ『平清盛』にも出演している蛭子さんは現在64歳である。客もまばらな古びた喫茶店で、向かい合った蛭子さんに、「テリー伊藤さんが、蛭子さんのことを“昭和の絶倫王”と呼んでますよね」と水を向けると、彼は虚をつかれたように顔をあげ、一瞬、戸惑いの表情を浮かべた。

「ウワッ、それはちょっと恥ずかしいな」と頭を掻きながら、彼は意外なカミングアウトをした。

「実は、俺、この2、3年、勃たないんだよね。最初は、まるで自分の漫画をけなされた時のような自信喪失に陥ったよ」

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 亡くなった前妻と今の奥さん一筋で少なくとも週1回は性生活を送っていた彼は、「俺の性欲は動物みたいだったと思う」と振り返る。ちなみに動物は繁殖期しか性交をしないため、これは野性的という意味である。