日本初の女性首相はいつ誕生するのか? そんな日は永遠に到来しないのか?
安倍政権は、「女性が活躍できる社会づくり」を最重要課題に掲げている。だが、この“正しい”キャッチフレーズは、あまりに現実と乖離していて、虚しく聞こえてしまう。
先月発足したばかりの第4次安倍改造内閣。注目された女性の入閣は、結局、片山さつき地方創生担当相たった一人。その片山氏も、さっそく国税口利き疑惑が持ち上がっている。
過去を振り返れば、稲田朋美元防衛相、小渕優子元経産相、松島みどり元法相など、かつての安倍政権の3人の女性閣僚も、鳴り物入りで任命されながら、結局、スキャンダルで次々に辞任。自民党総裁選出馬をめざしていた野田聖子前総務相も、直前にスキャンダルで失速し、出馬に至らなかった。
さらに遡れば、2重国籍問題で代表を辞任した蓮舫元民進党代表、秘書へのパワハラが問題視された豊田真由子前衆議院議員、不倫疑惑が報じられた今井絵理子参議院議員や山尾志桜里衆議院議員など、与野党を問わず、スキャンダルで失脚・失速した女性政治家は数知れない。
女性政治家の失脚がこれほど続くのは、一体なぜなのか?
「女性はスキャンダルに弱いのか、それとも単に目立つから週刊誌に狙われているだけなのか、そもそも女性がこれまでトップ・リーダーになれなかったのはなぜか。女性議員個人の資質を問題視する声は出ても、体系的な論考は見かけません」
国際政治学者の三浦瑠麗さんは、こう述べて、スキャンダルの度に、議論が女性議員個人の資質ばかりに終始することを問題視している。
その上で、
「失敗例をみると、やはり女性政治家ならではの失敗の理由がいくつか浮かび上がってくる」
「女性政治家の多くが王道をいくことが難しいのは、必ずしも彼女たちの責任ではなく、政治家を育成する政党のあり方や、有権者に問題がある」
「日本の女性の政治家が失敗する理由は、日本にある」
と分析。海外のケースとも比較しながら、女性政治家を次々に失脚させる「日本の政治構造」そのものを議論すべきだと指摘する。なかでも失脚の理由の一つとして三浦氏が挙げるのは、「女性政治家が売り物にしがちな過剰に『クリーンなイメージ』が不祥事の際にはかえって仇となる」ことだ。
「なぜ女性議員が育たないのか、トップを狙えないのか」という大本の理由を、失敗の原因と共に振り返る三浦氏の寄稿「女性政治家はなぜ輝けないか」は、『文藝春秋』12月号に掲載されている。