ひどい。こんなにギョッとする見出しは久しぶりだ。
『維新2県議、立花氏に情報 兵庫知事疑惑、中傷の原因に』(毎日新聞)
「信じがたい実態」と書いた社説
中傷された人たちは自殺した。斎藤元彦兵庫知事の疑惑を内部告発した西播磨県民局長と、疑惑を追及した県議である。中傷される原因にもなった「情報」の受け渡しに、日本維新の会所属の県議2人が関与していたのだ。増山誠氏と岸口実氏である。
「信じがたい実態」と書いたのはこちらの社説だ。
《選挙を自らのよりどころとするはずの議員が、公正な選挙を傷つける行為を重ねてきた人物に対し、議会のルールを破ってデータを提供する。斎藤元彦知事への告発問題に揺れる兵庫県で、信じがたい実態が明らかになった。》(朝日新聞社説)
「公正な選挙を傷つける行為を重ねてきた人物」とは立花孝志氏のことだ。増山氏は告発内容の調査を担う県議会百条委員会の録音データを立花氏に渡していた。百条委副委員長だった岸口氏は知事選期間中に立花氏と会い、委員だった竹内英明県議を「(告発問題の)黒幕」呼ばわりする紙を渡した。立花氏がそれぞれ発信して拡散させたのだ。中傷された竹内氏は県議を辞職し、1月に死亡。自殺とみられる。
では維新県議が立花氏に提供した録音データには何があったのか。読売新聞を見てみよう。
《証人尋問に応じた片山安孝前副知事が、告発者の男性職員(昨年7月に死亡)の私的情報について発言しようとし、奥谷謙一委員長が制して一時中断する場面が含まれていた。》
この百条委(昨年10月)が非公開だったのは11月の知事選に影響が出ないようにしたからだ。選挙後に録画を公開する方針だった。
しかし立花氏は知事選期間中、音声データをSNSで公開。
《SNS上では、「(百条委は)都合の悪い部分を隠している」などの投稿が相次いだ。》
大事なことを付け加えると、公開された告発者の私的情報は真偽不明なものだった。