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頼りにされれば燃える男・ゲレーロが巨人の救世主になる日

文春野球コラム ペナントレース2019

2019/09/08
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頼られれば燃える性格だからこそ

 そういえば、こんなこともあった。守備経験のほぼなかった一塁をチーム事情で守る可能性が出てくれば、試合前練習でファーストミットをつけて守備練習。ここでも熱心にコーチや同僚の助言に耳を傾けていた。

 気難しさもある一方で、まじめで熱心。頼られれば燃える。そんな性格を把握してうまく操縦できれば、この男はとてつもない戦力になる。巨人で過ごす2シーズン目、それがうまくいっていると思う。

 過去2年間、ゲレーロは優勝争いと無縁だった。ゆえに長期的な目標はなく、目の前の1試合がすべて。その試合だけのために必死になりすぎ、熱くなり、時にそれが我がままとも見られ、空回りすることもあった。昨年、当時の高橋監督との面談を拒否したなんていうニュースを見たが、これは目標もなくなり、誰からも頼りにされず、モチベーションが著しく低下していたからだろう。

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 今は違う。優勝という目標があり、そこに達するために自身が必要とされ、頼られている。だからその気になっている。1つ1つの勝利の積み重ねこそが優勝への近道であることも当然、理解しているから、チームのために何ができるかを考える冷静さもある。優勝に貢献したいから、バントに抵抗もないし、チャンスでも後ろにつなぐくらいの気持ちなのだろう。ここ2年に比べて長期的な視野で野球ができるようになっている。まじめで責任感の強い性格を、原監督をはじめ首脳陣がうまく把握して戦力に変えているような感じもある。

 8月は7本塁打、20打点。初旬に首位陥落を免れたのもゲレーロの存在があったからこそ。9月に入り巨人は再び、苦しい時期を迎えつつある。もしかしたら首位を譲ってしまう可能性さえあるが、ゲレーロが再び救世主になること願っている。いや、こんな原稿を書いた以上は、なってもらわないと困る。

 実際のところ打率は2割5分程度で得点圏打率も同じくらい。決して高いわけではない。だけど、優勝争いの中で頼りにされた時、ゲレーロは今までと違って数字以上に怖い選手になる、ような気がする。

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