昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載テレビ健康診断

『イッテQ』にみる、強引に時代を振り向かせた出川の力

『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ)

 いまや絶対王者となった日本テレビを代表する番組の一つが『世界の果てまでイッテQ!』だろう。『進め!電波少年』などの伝統を引き継ぐ世界を舞台にしたドキュメントバラエティだ。2007年2月から始まり、ちょうど10周年を迎えた。そんな10年間の中で、もっともその境遇が変わったのが出川哲朗ではないだろうか。

 10年前と仕事の内容は全く変わっていない。けれど、かつて「抱かれたくない男」の殿堂入りを果たしたように女性たちに「生理的に嫌い」などと言われ、出てくるだけで「ギャー」と悲鳴をあげられていた出川が、いまや子供たちはもちろん、若い女性たちに大人気になったのだ。よく「時代が追いつく」みたいなことを言われるけれど、出川は強引に時代を振り向かせた感じがする。

 その出川の豪腕っぷりが堪能できるのが『イッテQ!』の人気企画「出川はじめてのおつかい」だ。日本語の通じない海外に行き、英語だけでミッションをクリアするというもの。先日はニューヨークを訪れた。最初のミッションは「空母をリポートせよ」。空母を探すため、街行く人に話しかけるが、「空母」を英語でなんと言っていいのかがわからない。出川が絞り出した単語は「スカイ・ママ」。そのまんま! もちろんアメリカ人には全く通じない。混乱した出川は現地の人に向かって「ドゥユーノー イングリッシュ?」などと聞いてしまう始末。いざ、「空母」の英語が「エアークラフト・キャリア」だと聞き出しても、リスニング力が致命的に低い出川は「エレクトリック・キャリア」と思い込む。さらに記憶力も悪いからいつの間にか「エレキテル・キャビア」になってしまうのだ。そんなメチャクチャな英語力でも結局、空母のある場所にまでたどり着いてしまうから驚く。

出川哲朗

 以前の回では、試しに英語が堪能な女性タレントが出川と同じミッションをしたが、出川のほうが早くミッションをクリアしてしまう。女性タレントが流暢な英語で街の人に声をかけてもなかなか立ち止まってもらえない。しかし、出川がめちゃくちゃな英語で話しかけるとその必死さからか、相手も振り向かざるを得ない。そしてなんとか答えてあげようと必死に聞いて考えてくれる。これぞ出川力だ。

 文法なんて関係ない。重要なのは伝える熱意だ。芸歴30年を超えて、その熱意が、時代をも振り向かせたのだ。

▼『世界の果てまでイッテQ!』
日テレ 日 19:58~20:54