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藤井聡太七段の「朝日杯将棋オープン3連覇」はどれだけすごい記録なのか

藤井聡太七段の「朝日杯将棋オープン3連覇」はどれだけすごい記録なのか

いよいよ準決勝、決勝戦。過去の名棋士と比べてみると……

2020/02/10
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NHK杯で脅威の4連覇、24連勝

 一般棋戦でも、やはり羽生が圧倒的だ。NHK杯戦で2008年の第58回から第61回までの4連覇は、一般棋戦の最多連覇記録である。羽生は翌第62回も決勝まで勝ち進み、5連覇こそ渡辺に阻まれたが、この間の連勝は24を数える。羽生は、朝日杯で過去唯一の3連覇(第7~9回)を達成しているが、すべて本戦から進出のため、連勝の数としては12である。

 藤井が朝日杯オープン3連覇を成し遂げたら、18連勝で歴代単独3位に躍り出る。それでも、24連勝に並ぶためには4連覇を果たした上でさらに2連勝する必要がある。

 そして羽生に続くのは谷川だ。全日本プロ将棋トーナメント(朝日杯の前身棋戦)では1983年の第2回から3連覇。連覇が途切れた第5回でも2勝を挙げており、この間の連勝記録が17だ。その後も、第6回から第7回にわたって、そして第18回から第19回までの間に、13連勝を2度記録している。

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 棋士の格を表す竜王戦ランキング戦と名人戦順位戦の舞台へ目を移すと、まず竜王戦ランキング戦における最多連勝は、冒頭で触れた藤井の17連勝である。同じく3連覇を達成した永瀬は翌年の初戦で敗れ連勝は16で止まったが、第28期の4組と第29期の3組でも2連覇を達成している。

 また木村一基王位が第14期の4組、第15期の3組、第16期の2組で3連覇を達成しており、この間のランキング戦で13連勝している。ちなみに4組で優勝した第14期は挑戦者決定戦まで勝ち進み、その第1局では、羽生に一手トン死を食わせたことが話題となった。

森内俊之九段は、かつて順位戦で26連勝

 順位戦での連勝記録は、森内九段が1990年の第49期C級2組3回戦から第51期B級2組8回戦までに記録した26連勝が最多となる。この間、当然のごとく連続昇級を果たした森内だが、第51期B級2組では9回戦の敗戦が痛恨となり、結果的に9勝1敗ながら順位差で頭ハネに泣いた。その翌年にB級1組へ、翌々年にはA級へ昇っているので、何とも惜しい敗戦だった。

羽生ー森内戦は、数々の名ドラマを生んできた ©文藝春秋

 そしてA級に限定すると、羽生が2007年の第66期4回戦から第71期の6回戦までに記録した21連勝となる。第66期に8勝1敗で挑戦権を獲得した羽生は名人を奪取し3連覇達成。第69期の番勝負で失冠し、第70期のA級に参加すると9連勝で再度挑戦権を獲得する。だが奪回には至らず、第71期のA級に臨むことになった。第71期も8勝1敗で挑戦権を得たが、またも一敗地にまみれた。羽生が名人奪回を果たすのは第72期まで待つことになる。この間、立ちはだかったのは終生のライバルともいうべき森内だった。

 A級以外にも目を向けると、脇謙二八段が第40期C級2組8回戦から第42期C級1組8回戦まで21連勝を、丸山忠久九段が第55期B級2組4回戦から第57期A級1回戦まで20連勝を記録している。そして渡辺三冠は、第77期B級1組1回戦から現在まで20連勝を継続中だ。

千田翔太七段との準決勝は、どのような対局になるだろうか ©文藝春秋

 朝日杯将棋オープンの準決勝・決勝戦は、公式戦としては珍しい公開対局となる。真剣勝負をこの目で見たいと詰め寄せた大観衆の前で、どのようなドラマが生まれるだろうか。

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