昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

特集観る将棋、読む将棋

藤井聡太七段の「朝日杯将棋オープン3連覇」はどれだけすごい記録なのか

いよいよ準決勝、決勝戦。過去の名棋士と比べてみると……

2020/02/10

 2月11日に第13回朝日杯将棋オープン戦の準決勝、決勝が行われる。注目はやはり藤井聡太七段の3連覇がなるかどうかだろう。これまでの朝日杯において藤井は、初参加から負け知らずであり、準決勝、決勝を制して3連覇となれば朝日杯18連勝となる。

 また藤井の竜王戦ランキング戦に目を移すと、今期は初参加の3組で好スタートを切り、ランキング戦17連勝を達成した。ランキング戦無敗の3連覇(6、5、4組優勝)は永瀬拓矢二冠が第24~26期の6~4組において達成して以来の記録であり、今期の藤井は史上初となる4期連続優勝を目指すことになる。

藤井聡太七段は、朝日杯将棋オープンで初参加から負け知らずの16連勝中 ©文藝春秋

タイトル戦番勝負での最多記録は王座戦での19連勝

 B級2組へ昇級の決まった順位戦でも18連勝を達成しており、順位戦初参加からの連勝記録は中原誠十六世名人と並んでいる。

 藤井の連勝記録といえば、まずデビューからの29連勝が浮かぶが、このように棋戦別の強さというのも目に付く。他の棋士も棋戦ごとに選り分けてみると、どうだろうか。同一棋戦において10連勝以上を達成した例を見ていきたい。

 まずはタイトル戦番勝負における記録から。ここでの最多連勝記録は、羽生善治九段が王座戦五番勝負で達成した19連勝となる。王座戦五番勝負においては2004年の第52期第4局から2010年の第58期第3局まで、まったく負けなかった。第52期開始時点で、すでに王座戦では12連覇中であり、第41期第3局から第45期第3局までの14連勝という記録もあるが、19連勝で19連覇達成というのは大きな話題となった。19連覇中の羽生の王座戦番勝負成績は57勝10敗、勝率0.851である。タイトル戦の舞台でこの高勝率は驚異的の一言に尽きる。

 羽生は他にも、棋王戦で1993年の第18期第4局から第23期第2局まで16連勝、棋聖戦で2009年の第80期第4局から第84期第2局まで13連勝、王将戦で1996年の第45期第1局から第47期第2局まで10連勝と、実に5回もタイトル戦での2桁連勝を達成している。

今期は通算1434勝を達成して、歴代1位に躍り出た羽生善治九段 ©文藝春秋

渡辺明三冠は、番勝負での10連勝が2回

 羽生に続く数字を持つのが渡辺明三冠だ。竜王戦七番勝負と棋王戦五番勝負でそれぞれ1回ずつ10連勝を記録している。棋王戦の最多連勝記録は上記の羽生に譲るが、竜王戦10連勝は七番勝負における最多連勝記録だ。2008年の第21期七番勝負の第4~7局、22期の1~4局、23期の1、2局を勝ち、第3局で敗れて連勝が止まった。

 当時竜王を保持していた渡辺は、第21期で羽生の挑戦を受けた。このシリーズは双方に永世竜王の資格がかかり、また羽生には同時に「永世七冠」もかかっていたので、大きな注目を集めた。