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将棋界賞金ランキング、駒からマイクへ持ち替える女流棋士、先輩記者からの大目玉

将棋界賞金ランキング、駒からマイクへ持ち替える女流棋士、先輩記者からの大目玉

棋士と棋界の1週間 #7

2020/02/12
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2月3日、月曜日。

 この日の夕方に、将棋界の2019年獲得賞金・対局料ベスト10が発表された。

 1位は豊島将之竜王・名人の7157万円。竜王戦の賞金は年が明けてから計上されるはずなので、来年の1位と1億円オーバーはおそらく確実だろう。

 2位以下は竜王を持っていた広瀬章人八段、今期二冠を加えた渡辺明三冠、新たに二冠を得た永瀬拓矢二冠と続く。

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 注目の藤井聡太七段は9位で、2108万円。世の普通の17歳としては破格の稼ぎではあるものの、まだまだこれから。

今期は、史上4人目の「竜王・名人」になった豊島将之竜王・名人 ©相崎修司

 ちなみにお隣の囲碁界は1位が井山裕太三冠で、1億825万円。2位に芝野虎丸名人で6766万円。藤沢里菜女流三冠が2659万円で5位に入っているのが面白いところだ。将棋界は男女が同じランキングに入っておらず、女流トップの里見香奈女流四冠の賞金額は発表されていない。

 2020年のうちに西山朋佳女流三冠が奨励会を抜けて四段になっていたら、女流賞金額とプロ四段としての対局料を足してベストテン入りということになるかもしれない。どういう扱いになるか、大局観が問われそうな案件である。

2月5日、水曜日。

 夕方に渋谷のNHK出版を出て、トボトボと徒歩で将棋会館に行く。単純に渋谷から千駄ヶ谷方面に歩くときには上り坂が多いのだ。

 原宿駅方面から明治通りに突き当たった十字路には千駄谷小学校がある。十何年前には、ここの体育館で将棋連盟バレーボール部の活動が行われていたなぁ。

 中心は連盟の職員たちで、木村一基王位の奥様もその一人だった。自陣にボールが来ると「やめてー」、トスを上げられてスパイクを打たなければいけなくなると「来ないでー」と叫ぶ、なかなかに愉快なプレイヤーであった。

 他の部活動に比べると外部からの参加者が多く、飲み会や合宿なんかも非常ににぎやかだった。私にも将棋と関わりのない友人がいくらかできて、よく言えば知見が広がった時期だった(悪く言えば飲んだくれていた)。

将棋会館への出前でも有名な「ふじもと」 ©後藤元気

 小学校の脇を抜けて、うなぎ、とんかつの「ふじもと」や「千寿司」の脇を通って会館に向かう。この日の目的はB級2組の10回戦を見ることだった。

 昇級2枠のうち1枠は丸山忠久九段で決まり、もう1枠は横山泰明七段がマジック1。その相手が田村康介七段で、田村七段は降級点を1つ持っているうえに今期まだ2勝とC級1組降級の危機を迎えている。