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特集観る将棋、読む将棋

「絶対にやばい一番になる」14歳藤井聡太がプロになった対局、敗れた西山朋佳三段の本音とは

西山朋佳女王インタビュー #2

2019/10/31

 現役奨励会三段で唯一の女性奨励会員、西山朋佳女王。インタビュー2回目は関東移籍、女流タイトル戦初出場、三段リーグでの挑戦の日々について聞いた。(全4回の2回目/#1#3#4も公開中)

西山朋佳女王

◆ ◆ ◆

「早い」「早すぎるね」女流棋戦での戸惑い

――2014年4月から関東奨励会に移籍し、慶應義塾大学に通う生活が始まります。8月に第4期リコー杯女流王座戦で五番勝負登場を決め、9月に二段に昇段と、充実した日々だったことがうかがえます。

 2011年から奨励会員の立場で女流棋戦に出場し、年々、上位に勝ち残ることが増えていくと、中継で将棋ファンに注目されます。そのなかで、同じ将棋を指すのでも、普段の奨励会の例会とは違うこともありましたか。

西山 女流棋戦に出させていただいて、最初のほうは戸惑いもありました。奨励会だと多いですけど、私も早指しのスタイルだったんですよね。女流棋戦でも同じようなペースで指していたら、「早い」「早すぎるね」とか、たくさんの人に色々といわれました。

――それは感心する声もあれば、「もっと考えないとだめだよ」ってことですか。

西山 ええ。(持ち時間が各3時間の棋戦で)19分で指したときは、特にいわれました。観ている人が多いのはこういうことなんだと分かって、それから変えようと思いましたね。

 

――超特急で快勝したように見えても、西山さんの持ち味である攻めが炸裂しやすい展開になっていたから時間を使わずにすんだのもありますよね。

西山 そうなんですよね。でも「早指し」「早指し」といわれて……。私は指しまくって経験値で勝負するタイプでしたし、(持ち時間が1時間、または1時間半の)奨励会のペースで指していたのもあったと思います。

――リコー杯女流王座戦五番勝負の開幕は、10月でした。相手は同年代の加藤桃子女王で、同じ関東奨励会に所属する初段でありながらも、タイトル戦は5回目、獲得は3期。対する西山さんは初のタイトル戦でした。取材、前夜祭、立派なホテルや旅館での対局、ファンとの交流など、いつもと違うことが多くて大変でしたか。

西山 初めて経験する大舞台だったので、考えることはいっぱいありましたね。私は小学校からそういう舞台は知らなかったですし、それに加藤さんが慣れ過ぎていて。学年は加藤さんがひとつだけ上ですけど、タイトル戦の舞台でもうまくこなされていて、私だけ初めてでどうしようと思うことは多かったです。非日常的なことが多く、将棋を指すときも緊張がありました。奨励会の例会と比べて、記録係がつくだけでも違うのに、立ち会いの先生がいて、大盤解説されて、たくさんの記者の方に取材されるんです。普段と違い過ぎて、びっくりしました。