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鈴木直道・北海道知事は“次代の総理”か“官邸の駒”か? 新型コロナ対応で見えた「政治センス」

“対国政”の第一ラウンドが始まった

2020/03/09
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国とのパイプを源泉にした“情報感度”

 昨年まで続いた夕張市長時代も、庁議でしばしば「国の管理下団体なんだから国の動きを常に注視してほしい」と幹部職員に口癖のように述べていた。

 かつて、地方のリーダーといえば片山善博・鳥取県知事(当時)ら国との対決姿勢を前面に打ち立てる姿を売り物にしたが、鈴木の現在にそうした影はまだ薄い。

国会議事堂 ©iStock.com

 あえて挙げれば、5日に開かれた全国知事会にオンライン参加した鈴木も、政府が進める新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正について、「私権の制限は最小限にすべきだ」と釘を刺した。翌日の知事会から国への要望にそのまま取り入れられた。

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 とはいえ人口減少がさらに深刻化した現在は、地方の自治体は予算や人材といったリソースを持つ国への依存度を深めなければ立ち行かない。

 国とのパイプを源泉にした鈴木の“情報感度”は武器になる反面、頼りすぎれば首長としての存在感は薄まる。新型コロナウイルスへの対応をめぐる危機管理はその難しいバランスが問われ続ける政治家にとって、注目の第一ラウンドといえる。(文中敬称略)

 ノンフィクション作家の広野真嗣氏が、鈴木直道知事の実像に迫った「令和の開拓者たち 鈴木直道」は、「文藝春秋」1月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

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鈴木直道(北海道知事)
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