昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

鈴木直道・北海道知事は“次代の総理”か“官邸の駒”か? 新型コロナ対応で見えた「政治センス」

“対国政”の第一ラウンドが始まった

2020/03/09

 ちぐはぐ続きで批判が相次ぐ安倍政権の新型コロナウイルス対応とは対照的に、評価を高めたのが北海道知事の鈴木直道だ。感染者数が全都道府県の中で最も多く収束は見通せないが、「一斉休校」や「緊急事態宣言」など、“政府の動きに先立って手を打った”と喝采を浴びる一方、菅義偉官房長官との関係の近さから“政権の観測気球を放つのに利用されただけ”という見方もある。どちらが正しいのだろうか。

「政治判断の結果責任は私が負う」

 3月8日現在、北海道内の感染者数は101人でクルーズ船での感染者を除いて国内最多。国内の死者6人の半数は北海道だ。

 50代の公立学校の教員の感染を公表した2日後の26日水曜日午後、鈴木知事は緊急会見を開き、約1600校に及ぶ小中学校の1週間休校を道内自治体に要請。28日金曜日には「緊急事態宣言」を発表して、週末にあたる29日、3月1日の外出を控えるよう道民に呼びかけた。

鈴木直道・北海道知事 ©時事通信社

 経済的影響が大きくなったことを受けた次の週末(7日、8日)には「大勢の人が集まる場所への外出を自粛」という表現に修正して行動制限の度合いを緩めたが、「政治判断の結果責任は私が負う」と言い切る力強い言葉に、SNSを中心に支持が集まった。

官邸が打つ手の“実験台”にされた?

 一方、地元の北海道新聞は、政府内に感染者数が拡大する北海道に着眼して行動を制限するプランが浮上していた点を踏まえ、「知事は政府からの正式な打診を受ける前に〈緊急事態宣言〉と〈外出自粛要請〉を発表し、29日の安倍晋三首相への緊急要望をセットにして機先を制す狙い」だった、と読み解いた(2月29日付)。

 国が強権で感染封じ込めに乗り出す事態になれば、都市が封鎖された中国・武漢とイメージが重なってくる。観光を売り物にする北海道を襲う最大のピンチを、先進モデルを示す好機に――。財政破綻で人口が急減していた町を“課題先進国の課題先進都市”としてその解決モデルを示す町と位置づけた、夕張市長時代の“勝ちパターン”と重なる。

安倍晋三首相 ©JMPA

 鈴木の「休校要請」の翌日に政府は全国の自治体に休校を要請し、鈴木の「緊急事態宣言」のあとに新型インフルエンザ等対策特別措置法改正に向けた動きは本格化した。

 菅義偉官房長官ら政府中枢との近さから「官邸の言いなりではないのか」との批判は常にあり、「官邸が打つ手の実験台にされたのではないか」という趣旨の皮肉も出る。