新型コロナウイルスへの対応をめぐり、北海道知事・鈴木直道氏(38)の株が上がっている。月刊誌「財界さっぽろ」は、道知事に当選する直前の2019年3月号にて「若くてさわやか」だけではない 鈴木直道の知られざる“政治家”の顔」という記事を掲載していた。地元メディアが伝えた若きリーダーの素顔とは――。

(年齢・肩書きなどは掲載当時のものです)

北海道知事の鈴木直道氏 ©財界さっぽろ

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「したたかな政治家の顔もあるんだと感じた」

「若すぎる」「経験不足」

 自民党道連による知事選候補の選考期間中、夕張市長の鈴木直道にはこうしたマイナス評価が多く寄せられていた。

 だが鈴木はこうした声をはねのけ、2019年1月29日に自ら出馬の意向を表明した。このとき、同党道連の選考はまだ終わっておらず、2月2日には鈴木ともう1人の候補である国土交通省北海道局長の和泉晶裕の意向調査をおこなうことになっていた。

 鈴木はそれを待たずして、2月1日に出馬記者会見を開き、その日のうちに公明党道本部、自民党道連を訪れ、推薦を要請した。そして公明は異例のスピードで即日、推薦を決定した。

「『順番が違うだろう』と“和泉派”の人たちは怒っていたが、2月1日に鈴木一本化の流れはほぼ固まり、(参院議員の)橋本聖子さんの出馬説も再浮上したけれどすぐに消えた。最終的に自民は鈴木さんを推薦。結局、あのとき鈴木さんが勝負に出たのは正解だったわけだ。公明とは事前に打ち合わせをしていたのだろう。『若くてさわやか』だけではなく、したたかな政治家の顔もあるんだと感じた」(自民関係者)

菅官房長官とはすぐに意気投合

 鈴木の知事選出馬に否定的な立場をとっていたのは、自民道議や国会議員、経済人だけではなく、市町村長の大半も“和泉派”にまわった。鈴木が2016年にJR石勝線夕張支線の廃線をJR北海道に逆提案したことも、路線見直し問題を抱える自治体の首長から「スタンドプレーだ」と不評を買っていたという。

2019年12月、初の政経セミナーに“直道スマイル”で登場した鈴木直道知事 ©財界さっぽろ

 一方で、こんな声もある。

「誰がどう考えても、遅かれ早かれ廃線は決まっていた。ならばJRからの支援を引き出しながら、バス転換を図ったほうがいいという鈴木さんの判断は間違っていない。かなり唐突ではあったけど、この件で政治判断ができる人だと認識した」(交通政策に詳しい大学教授)

 鈴木と官房長官の菅義偉が緊密な関係にあることは、新聞報道などでも触れられている。

 菅は夕張破綻・財政再生団体指定の判断をした第1次安倍政権時の総務大臣だった。鈴木は市長就任後、当時は民主党政権だったが、法政大学法学部の先輩でもある菅を訪問している。お互い働きながら大学に通った苦学生だったこともあり、すぐに意気投合。現在も菅は夕張を応援し続けている。