元SMAPメンバーとの懇談も
鈴木周辺から漏れ伝わる話では、2人は2カ月に1回のペースで会っているという。鈴木と親交のある自民関係者は「鈴木さんが上京して会っているのは、菅さんだけではありません。東京の経済人などにも会い、人脈を広げている。こうした地道な活動が、2018年5月に元SMAPメンバーとの懇談などにつながっている。自分のブランド力を磨く力はかなり高い」と明かす。
さらにさかのぼると、最初の夕張市長選のとき、強力に鈴木を応援したのは、元東京都知事の石原慎太郎や猪瀬直樹だった。当選後も都が夕張に職員の派遣をおこなうなど、協力関係は続いた。
だが14年、猪瀬が公職選挙法違反で公民権停止の略式命令を受け辞職。その後の選挙で都知事になったのは、猪瀬都政に批判的な舛添要一だった。このとき、都と夕張の協力関係は一度途切れかかったという。
「鈴木さんと舛添さんは接点がなかったが、ここでも培った“東京人脈”を駆使しながら初会談を実現し、支援継続を約束させたと聞く」(前出自民関係者)
2カ月に1回上京して官房長官に会い続けた
道内の若手地方議員との交流も積極的におこなっているようだ。
例えば道央のある地方議員は鈴木に対して、夕張で実施されているコンパクトシティー化を自分の地域でもできないか、相談をしたことがあるという。この議員は「ふるさと納税についても鈴木さんから詳細なアドバイスをもらいました。わが町では、夕張を参考にした仕組みを取り入れています」と語る。
前出の大学教授は次のように語る。
「よく『国の言われたことをやっているだけ』と小ばかにされているが、鈴木さんが夕張でどれだけ神経をすり減らして国や道、職員とやりあってきたか、みんなわかっていない。17年には財政再建計画の見直しも勝ち取ったが、これも2カ月に1回上京して官房長官に会い続けた政治家としての成果。政策立案能力も市長として過ごした8年間で格段に上がっている」
しかし、空知の自民関係者は鈴木の政治家としての“甘さ”を指摘する。
「気が強く、強引にものごとを進める力があるのは認める。だが、市長会にも顔を出さない、空知の政治関連の会合にも出ないじゃ、他の自治体関係者から反感を買うのは当たり前。鈴木さんは『お金もないので、会合には出られなかった』と言っているみたいだが、知事選に出るのであれば、地元政界の人たちとの付き合いも大切にするべきだった」
(文中一部敬称略)
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その後、2019年4月10日に投開票の行われた道知事選にて鈴木氏は圧勝。全国最年少知事となった。
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