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連載サウナ人生、波乱万蒸。

泥酔客には「お帰りください」 “サウナ界の名家”米田家が作った「神戸サウナ&スパ」の美学

神戸サウナ&スパ #2

2020/11/15
note

 昔は町のそれぞれの自分たちのエリアの中に銭湯があって、そこに情報が集約されていて、行くとその町の色んなことがわかる。どこどこの誰々ちゃんが結婚するらしいとか、子供が生まれたらしいとか、その町のコミュニティが銭湯の中にあった訳です。うちはそういう存在でありたい。だから色んな企画をしているんです。

 
女性エリアにしかないローズテルマリウム(上)やルナルーム

 たとえば父の日であったら、親子で来てもらったら無料、お父さんの背中を流した子供にはアイスクリームを差し上げるとか。それからスタッフが無料でお客様のお背中を流したりするんですけれども、ここでもやっぱり会話が生まれるんですね。お客様からするとだいたい息子ぐらいの世代が背中を流してくれる。当然「ありがとう」という言葉も出てきますし。ちょっとした会話も出てくるんですよ。

 そうやって、人々にとって些細なコミュニケーションができる場になってもらえたらなという思いがあって。そのためのきっかけづくりはお店として積極的に意識してやっています。神戸サウナに行ったら、もちろん体がきれいになるけれども、なんか心も元気になったよ、みたいな場でありたいなという」

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 お客様へはサウナに対する意識革新を促しながらも、古き良き伝統は順守していく。

 米田家の伝統であり、正統な遺産ともいうべき神戸サウナ&スパ。米田はこの先に、何を見ているのだろう。

「神戸ってね、ものすごく閉鎖的で特殊な街なんですよ。だから今あるものを守っていくということがとても重要なんです。その中でやっぱり他都市とは違うビジネスのやり方といいますか。何かがあるような気がするんですよね。

今後も地元の、そして全国の老若男女から愛され続ける施設であり続けてほしい

 神戸は自然が多いので、自然と共生するような、より本物に近い施設を作ることには興味がありますね。あとは神戸サウナ大学という活動をしていまして。地域の皆さんが交流できる場として、うちで色んな活動(アクティビティ)を部活と称してやっているんです。色々部活を増やしていきながら、そのクラブ活動をそれぞれのみなさんに楽しんでいただいて。それで最終的にはサウナを楽しみながら、裸のコミュニケーションをしていただけるような、そんなつながりができたらなと。

 この活動は地元に恩返しをしたいということからのスタートなんです。我々ができる事は何かということを考えた時に、我々のビジネスと地域みなさんの活動を融合させることで、恩返しができるのではないかなと。65年この場所でずっと商売をさせていただいてるというのは、本当に地元のみなさん方の支えがあったから。それしかないので。本当に感謝しています」

 

INFORMATION

神戸サウナ&スパ
住所 兵庫県神戸市中央区下山手通2丁目2-10
電話 078-322-1126/レディスフロア078-322-1726
料金 サウナ&スパ(最大 午前8:00~翌午前10:00)2,700円、リフレッシュ(8:00~翌5:00で最大1時間)1,700円ほか
※営業時間などの最新情報は公式HPをご確認ください。
http://www.kobe-sauna.co.jp/

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