このサウナには品がある。

 三宮駅を出て、飲み屋の誘惑を振り切りながら生田新道を歩く。口当たりの良い貝の出汁が五臓六腑にしみわたる最高のサ飯、ボンゴレそばでおなじみのボンゴレ亭の前を通り過ぎ、一直線に目的地へと向かう。6分もすると黒字に白いロゴのシックな外観、周りにおかれたフィンランド直輸入のサウナの守り神、トントゥがいつものように出迎えてくれる。

 そう、今回の舞台は唯一無二の孤高のサウナ、神戸サウナ&スパ。

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8階建ての建物の3~8階が「神戸サウナ&スパ」。3階がレディスフロア、4~8階がメンズフロア

 ひとたび門をくぐると、老舗ホテルを思わせるウッディで格調高い受付が待ち構えている。従業員の動きも統制され、施設の格を感じさせる。ああ、神戸サウナに来たな、と胸が高鳴る瞬間である。

©五箇公貴

 キーをもらい、名物のカレーやTシャツなどの物販ディスプレイを尻目にロッカー室へ。

 洋服を脱ぎ、はやる気持ちを抑えながら、一歩一歩階段を昇っていく…。

 すると、眼前に広がるサウナ室。入る前にひと呼吸。これから夢のような時間が過ごせることを神様に感謝して…。いざ。

「浴室入り口の足水」はまるで神社の手水

 入り口からはすべてが見渡せる最高の動線。足元には小さな吹き出し口があり、ちょろちょろお湯が噴出していて、入退場時に常に足元を清潔に保ってくれる。なんて細やかな気遣いだろう。

 浴室に入るとすぐに感じる、凛とした空気感と圧倒的な清潔感。こんなサウナはどこにもない。

 トルコ式のミストサウナ・ハマーム、オートシャワー付きの塩サウナ、アウフグースが頻繁に行われる高温サウナ、セルフロウリュができる静かなフィンランドサウナ。バリエーションが多いだけでなく、それぞれのサウナ室は機能的にも研ぎ澄まされている。

数々の熱波を送り出してきた高温サウナのサウナストーブ。サウナ室の作りもオーセンティックで居心地が良い
フィンランドサウナ。入り口にはビフィタがあり各自でロウリュができる。中には小さなトントゥも