文春オンライン

「こんにちは。ガースーです」で思い出す安倍元首相のスベりっぷり 菅首相も同じ轍を踏んでしまうのか?

“親しみやすさ”の演出に見るズレ

2020/12/15
note

 さて話をニコ生出演に戻すとどうもこの日の出演の評判はよくないのである。コロナで「東京595人感染」というタイミングが重なったこともある。

「ガースー」と名乗ったことについて《親しみやすさを演出したかったようだ。》(読売)という事情があったようだが、私はそのズレっぷりが気になった。コロナ対策で顔が見えない首相が何をのんきにやっているのかというツッコミも多数。

安倍晋三元首相と「ガースー」の共通点

 これ、どこかで似たような光景を見たぞ。あ、思い出した。これだ。

ADVERTISEMENT

国難なのに優雅なツイート 安倍首相は貴族か!!

 今年4月13日の日刊スポーツの一面見出しである。

星野源「うちで踊ろう」とコラボした安倍晋三元首相 安倍元首相のツイッターより

《安倍晋三首相が12日、ツイッターを更新し、星野源(39)が歌う「うちで踊ろう」とともに、自宅ソファで愛犬のミニチュアダックスフントのロイを抱く姿や、カップ片手にくつろぐ様子を公開した。》(日刊スポーツ4月13日)

 当時の安倍首相が星野源動画と勝手に“コラボ”をしたら非難ごうごう。

《「ステイホーム」を訴えるのが狙いとみられるが、世の中の混乱をよそに優雅にくつろぐ姿にネットは騒然。》(日刊スポーツ)

 ここで注目したいのは世の中との温度差だ。スポーツニッポンは『アベノコラボ マスクに続き大失敗』(4月13日)。星野源動画とのコラボもアベノマスクも不評だと伝えた。

 では、あの布マスクは誰が発案したのだろうか。

《「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」。首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚だった。》(朝日新聞4月3日)

周囲との温度差への無理解が批判を呼んだ ©文藝春秋

 新聞には実名がなかったが「週刊文春」4月16日号には

「佐伯(さいき)耕三首相秘書官(44)が安倍首相に『全国民に布マスクを配れば不安はパッと消えますよ』と発案したのです。彼の進言に加え、3月に北海道の一部地域で実施したマスク配布が好評だったことも後押しとなった」(官邸関係者)

 ちなみに星野源動画との「コラボ」を発案したのも佐伯氏と見られているという(文春4月23日号)。

 私がこのとき痛感したのは、平時なら目立たなかったSNSでの“ふわっとした民意”を取りにいく手法が、非常時だと危機意識の無さに見えてしまったことである。もっと言えば安倍首相の周囲は世の中との温度差がわからないのだろうかとも感じた。