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「実は2年前から2度目のウツです」作家・高村薫はいかに1度目のウツを抜け出したか

岡村靖幸×高村薫「幸福への道」完全版 #2

note

普通の日を過ごすことが幸せです

岡村 じゃあ、いまは、その自由な状態にいることが髙村さんにとっての幸福、ということですか?

髙村 この年になりますとね、悲しいことや嫌なことがとりあえずないことがいちばんなんです。身近につらいことがない状態、普通の日を過ごすこと、それが幸せであり幸福なんです、私にとって。

髙村薫 ©️文藝春秋

岡村 じゃ、こういうものが書けたら幸せだとか、そういうことってそんなに思わないですか?

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髙村 もちろん、それはあります。でも、私のような、いわゆる寡作な人間にとって、それはめったにないことで。一つの作品ができあがるのは何年にいっぺん。それは特別な日ですからね。

岡村 僕、ずっと髙村さんのファンだったので、今日はとっても特別な、幸せな日になりましたよ。

髙村 私もとっても不思議な感じがしています。ライブでシャウトし、踊っている岡村さんとこうしてお話しできたことが。すごく慎重に、いろんなことを見極めようとしてらっしゃる方だなと思ったんですが、違いません?

岡村 できるだけ、そうありたいなと思っています。

髙村 石橋叩いて渡る方だなあって。猪突猛進ではないですね?

岡村 ではないですね(笑)。

一筆御礼

オンラインでしたが、高村さんの体温が感じられるような対談でした。繊細で正義感と知の塊のような方という印象だったので、どう話そうか思案しましたが、読む方が楽しんでいただけたら。貴重なプライベートの話が聞けたのも嬉しかったです。また、この環境下でご自身ははっきりおっしゃいませんでしたが、読者やファンの方を勇気づけたいのでは? と思いました。 岡村靖幸

※最新話は発売中の「週刊文春WOMAN 2021年 春号」にて掲載。

text:Izumi Karashima

たかむらかおる/1953年大阪府生まれ。国際基督教大学卒。89年、大阪の外資系商社在職中に書いた初めての小説が、日本推理サスペンス大賞最終候補に。翌90年『黄金を抱いて翔べ』で大賞を受賞し、デビュー。93年『マークスの山』で直木賞受賞。近年は純文学に活躍の場を広げる。

おかむらやすゆき/1965年兵庫県生まれ。音楽家。86年デビュー。「岡村靖幸 2021 SPRINGツアー操」が3月21日よりスタート。NHK「みんなのうた」で、いまの時代を生きる子供達のために書き下ろした新曲「ぐーぐーちょきちょき」が、2年2ヶ月ぶりのシングルとして発売に。

週刊文春WOMAN vol.9 (2021年 春号)

 

文藝春秋

2021年3月22日 発売

 

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