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あのとき、「子宮頸がんワクチン」を打たせてもらえなかった少女たちはいま

3月4日は「国際HPV啓発デー」

2021/03/04
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キャッチアップ制度を求める署名活動を立ち上げ

 昨年6月、高橋医師は「HPVワクチンfor Me」のキャンペーンで、無料のキャッチアップ接種を求める署名活動をオンラインで立ち上げた。1日で約1万3000人の署名が集まり、今年3月末には集まった署名を厚生労働大臣に提出する予定だ。

「この問題は、無料で打つ機会を逃した女性はもちろん、知り合いに20歳や19歳の娘さんがいるすべての方が当事者です。ぜひ我が事として捉えてほしい」と高橋医師は訴える。

 最後に彼女たちが打ち明けてくれた。

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「大学生になって初めて彼氏ができたのですが、HPVワクチンの大切さと、私がまだ打っていないことを伝えたら、接種するまで男女の行為は避けようということになりました。きちんと説明したら分かってくれたので有難かったです」(Mさん)

「私もセクシュアルデビューは、ワクチンを打ったあとにしようと心に決めています」(Nさん)

成人式のお祝いにHPVワクチンを

 オーストラリアや米国、イギリスなど約20カ国では男子にも推奨されているHPVワクチン。日本でも2020年12月、男子への適用が決まり事態は着実に前進している(ただし、9価ワクチンの男子への適用は見送られた)。

「世界で打たれて10年以上経つHPVワクチンは、有効性も副反応の程度についてもデータが積み重なっています。若い世代がコロナウイルスワクチンを打つのはまだ先になりそうなので、その前にHPVワクチンの接種を考えてもらいたい。そして、保護者の方にも最新の情報を得てもらい、定期接種を逃したお子さんがいたら成人式のお祝いなどにHPVワクチンを検討してほしい」(高橋医師)

©️iStock.com

 今日3月4日は、「国際HPV啓発デー(IHAD2021)」だ。先進国では常識となっているHPVワクチンについて、これを機に最新の情報を得ておきたい。

※無料接種の対象年齢を過ぎてもHPVワクチンを公費で打てるように求めるオンライン署名活動

「国際HPV啓発デー(IHAD2021)」のサイトでは、HPVワクチンの最新情報を多言語で入手することができる。

あのとき、「子宮頸がんワクチン」を打たせてもらえなかった少女たちはいま

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