文春オンライン

《相模原45人殺傷事件》「こいつしゃべれないじゃん」と入所者に刃物を 植松聖死刑囚の‟リア充”だった学生時代

2021/05/29
note

「鼻先を小突きました」

 例えば、第9回公判(1月27日)の被告人質問において、次のような場面があった(以下、検察官は「検」、植松被告は「植」)。

 やまゆり園の職員の方たちについて、何か思ったり感じたりしたことはありますか?

 少し感覚がズレてしまうのかなと思いました。

ADVERTISEMENT

 どんなふうに?

 人間として扱えなくなってしまうと思いました。

 具体的には?

 口調が命令口調で、(利用者を)人として扱っていないと思いました。

 職員の方が暴力を振るうことはありましたか?

 聞いたことはあります。

 見たのではなく?

 あーどうだろう……自分は、初めは暴力は良くないと思っていました。

 「良くない」と職員の方にいったのですか?

 はい。

 その職員の反応はどうでしたか?

 2~3年やればわかるよといわれました。

©iStock.com

 あなたも暴力を振るうようになったのですか?

 無駄な暴力を振るったことはありません。

 無駄じゃない暴力というのは?

 しつけだと思ってやったことはあります。

 どんなことを?

 鼻先を小突きました。

 鼻先を?

 犬も鼻先を小突いてましたんで。

 動物のしつけと一緒?

 はい。

 そういう経験を通して、意思疎通のとれない障害者はいらないと思った?

 はい。

 こうしたやりとりが行われたにもかかわらず、審理の過程で大きな論点となることはなかった。

 死刑判決は当然だと私は思う。しかし同時にこうも思う。「障害者はいらない」と主張して事件を起こした植松に対し、「お前こそいらない」との判決を突きつけるだけで終わるなら、それは本質的な解決といえないのではないかと。

《相模原45人殺傷事件》「こいつしゃべれないじゃん」と入所者に刃物を 植松聖死刑囚の‟リア充”だった学生時代

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

週刊文春をフォロー