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BE:FIRSTは本当に世界を目指せる? 日本がK-POPに“勝てない”ワケから考えると…《MVは4日で500万再生超え》

2021/08/25
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「本家の韓国版は一定のレベルに達している人を対象にしたオーディション番組なのですが、日本版ではまったくの素人だけを集めました。『成長する姿』を見ていただくことを第一に考えたからです(後略)」

 ここでも日本独自の「成長を楽しむ文化」が存在する。SKY-HIもこの成長の物語をみせるように工夫をしていく。

「PRODUCE 101」と「THE FIRST」の違い

 そして、成長を「PRODUCE 101」はリアリティショーとしてみせていったが、「THE FIRST」はドキュメント番組のようだった。

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 お金をかけたセットもないし、テレビでお馴染みの有名芸能人がゲストとして出てくることもない。合宿審査を行う山中湖のほとりの宿泊施設も年季が入っていて豪華さとは縁遠い。

「THE FIRST」の放送は書類審査後の2次審査からはじまる。ダンスの世界大会での優勝経験者、「PRODUCE 101 JAPAN」のファイナリスト、元ジャニーズJr.とキャリアがある若者たちもいれば、自作のラップを披露する天才肌の中学生、モデルをやっているという少年、歌もダンスもレッスンを受けたことがないが天性の美声を披露する大学生。多種多様な参加者がずらりと並ぶ。

【動画】BE:FIRSTのプレデビュー曲『Shining One』MV
 

 様々な課題に取り組むことで、参加者たちは短期間で驚異の成長をみせていく。「THE FIRST」は『スッキリ』(日本テレビ系)で放送されたが、朝の情報番組をみる女性層にとって、若く真摯な若者たちの成長を見守るのはこの上なく心を惹かれるものだった。そのため、最終回で号泣したという視聴者も多かった。

審査員でありながら参加者でもあったSKY-HI

 しかし、SKY-HIは王道の成長物語を作り上げる上で、他の番組にはないオリジナリティを盛り込んでいった。

 まず、SKY-HIが審査員でありながら、参加者と同じようにふるまう点だ。参加者と一緒になって踊ったり、合宿審査では1ヶ月間、寝食を一緒にしたりした。また、課題の内容にも工夫があった。

 オーディション番組に詳しい、芸人出身の考察系ユーチューバーのはしも。さんはいう。

「1ヶ月間の合宿審査の最初にクリエイティブ審査というものがありました。作詞、メロディ、振り付けなどを1曲作り上げさせる審査です。トラックだけを渡して、それをベースに歌詞、メロディ、ダンスの振り付けを一から作らせます。未経験の参加者は無理なんじゃないかなと心配しながらみてましたが、みんなで話し合いながら曲を作り上げていくんです」