オーディション番組「THE FIRST」の最終審査が終わり、デビューメンバーが決定した。

 グループ名はBE:FIRST。YouTubeでMVが公開されたプレデビュー曲『Shining One』は4日で500万回以上再生され、iTunesなどの音楽配信サイトで1位を獲得した。25日には『スッキリ』(日本テレビ系)でパフォーマンスも披露した。出だしは好調のようだ。「THE FIRST」はアーティストのSKY-HIが「世界で活躍するボーイズグループを作りたい」と、自腹で1億を出資し、始めたオーディション番組だ。

 K-POPが世界的に成功を収めている。そのため、現在、ダンス&ボーカルでトップを目指したい若者は韓国に行くという流れがある。それはそれで素晴らしいことだが、日本からも世界で活躍するグループが出てくれば、それは音楽の多様性につながる。今回はBE:FIRSTが実際に世界を目指せるのかをみていきたい。まずはその前段階として、なぜ、日本の音楽は世界に出て行きにくいのかを検証しよう。

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K-POPが世界で成功した理由

 K-POPの世界的な成功をみていると、日本の音楽グループも世界を目指せないかとは誰しも思うところだろう。アメリカでも成功を収めているK-POPガールズグループTWICEのメンバーの3人は日本人だ。彼女たちの活躍をみていると、日本にも若い才能はいると分かる。なのに、なぜ、現状、日本発のグループが海外で活躍していないのだろうか。

「韓国は国策としてエンタメを海外に輸出することに力を入れてきました。その一環としてBTSなどのダンス&ボーカルグループの隆盛があります。輸出向け商品なのでK-POPはアメリカで売れる音楽を意識的に作ってきました。アメリカのトレンドにあった洗練され完成度が高いダンスミュージックです」(音楽レーベル社員)

BE: FIRSTのメンバー(公式HPより)

 アメリカは世界最大の音楽消費国であり、そこを制するものは世界を制する。K-POPはアメリカに向けた音楽を作って成功したわけだが、なぜ日本ではそういう音楽が作れないのか。

カラオケ文化とダンス文化

 この疑問を音楽関係者たちに投げかけると、みな、文化の違いを口にする。

「日本人は未完成さを良しとする傾向があります。完成度や洗練よりも『エモさ(情感)』を重視します」(音楽番組プロデューサー)

 その理由として、別の音楽関係者はこう話す。

「カラオケ文化とダンス文化の違いがあります。日本で売れる音楽はカラオケで歌いたくなる曲です。EXILEはダンスも歌も技術的に高いグループですが、カラオケで歌いたい曲も多いですよね。一方、アメリカで売れるのは踊りたくなる曲です」