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登場人物・影山が一番かっこいいところから入るために

桜木 ストレスがないことって、とても大切ですよね。私はそれが出来ている気が、まだしないんです。

 コミカライズの『ブルース』では、小説の第3話「鍵」から始まりました。ここにはどんな理由が?

もんでん 漫画ではビジュアルが大事なので、影山博人が一番かっこいいところから入らないといけないんです。指が6本ある博人が、かっこよくスーツを着こなして、女を転がしていく。

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 柿沼美樹という主婦が10年前、夫が外の女のところに入り浸るようになったときに、指が6本ある若い男性を買った。そして、自分の奥に快感があることを教えられる。

桜木 この第1話「鍵」は、この記事の読者にも読んでもらえるんですよね? 『グランドジャンプめちゃ』に連載中も、毎回楽しみでした。でも、私が原作を書いたわけだから、作品内の景色も自分の記憶の中にあるはずなのに、漫画を読む前には決して戻れないんですよね。漫画という手法で、もんでんさんは、私が出さなかった答えを出してくるんです。怖い読者ですよ。

 小説『ブルース』を粉々になるまで砕いて、さらに新しく陶器を作るぐらいの熱量を感じました。

ブルース』(桜木紫乃)

 絵で、エロスを表現する人の頭の中は、文章を書く私とはまた違う世界。私が見たこともない筋肉を使って描いているというのが伝わってきます。性描写は小説の場合、人間の見せどころというか、書き手の品や生き方を問われるシーンなんですね。映画の世界では殺陣と同じなのだと聞きました。漫画は、その両方だよな、ともんでんさんの作品を読むたびに思うんです。やっぱり「答え」を出すひとなんだな、って。

もんでん その答えが合っていたら良かったんですが……。