マンガアプリ「マンガワン」で話題沸騰の異色作『女の子が抱いちゃダメですか?』。紙と電子書籍を合わせて累計20万部を超えている。新しいエピソードがアップされる度に男女双方の読者から熱烈なコメントがつけられ、しかもそのほとんどが好意的だという。

 あらすじはこうだ。

 一見コンサヴァティブで清楚系な24歳のOL・梶谷美月は、人には言えない秘密を抱えていた。それは男性に抱かれるのではなく、「抱きたい」という性癖を持っていること。一方、美月と付き合い始めたばかりの彼氏、28歳の商社マンである篠宮孝之にも秘密があった。普段はビシッと決めている篠宮だが、「男らしくあらねばならない」という重圧に耐えかねて、以前の恋人との性行為がうまくいかなかったことをきっかけに、性行為へのトラウマを抱えていた。

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「女の子が抱いちゃダメですか?」

 篠宮の過去を思いながら、徐々に2人だけの関係性を築いていこうとする美月。葛藤しながらも攻められて嬉しいと思う自分を受け容れていく篠宮。笑えて、泣けて、考えさせられる、新時代のラブコメディだ。

 読者はこの作品のいったいどこに熱狂しているのか?

 刺激的なタイトルとは裏腹に、スタンスは非常に誠実で真面目。かわいい絵柄とは裏腹に、物語はエロティックで刺激的。1つの作品の中にさまざまな顔を持ちながらも、多くの読者を惹きつけているのは、現代日本のジェンダー観と男女それぞれの生きづらさに対する、数多くの示唆だった──。

 作者のねじがなめた先生に話を聞いてきた。

ねじがなめた

2017年、BL作品『コンプレックスフェイクスター』(一迅社)でデビュー。映画製作の現場を描いた『オールラッシュ!』(全2巻・KADOKAWA)で青年向け作品にも進出し、2020年、小学館の「裏サンデー」「マンガワン」にて『女の子が抱いちゃダメですか?』を連載開始。著書に『僕らの青春は死んでない』(星雲社)、『先生(おれ)の気持ちを答えなさい』(ひかりTVブック)など。

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あくまでも少女マンガ

──ものすごい反響ですね!

 ありがとうございます! 1話目をTwitterに上げたとき、リプライやメールで直に熱い感想をたくさんいただいたので、手応えはありましたが驚きました。性的な要素よりも、主人公・美月の女性としての気持ち、恋愛にモヤモヤしている感じに共感した、という感想が多かったのが意外でした。

インタビュー時の様子 ©文藝春秋

──エロ要素にひかれて読んでいる男性読者も多いのでは?

 ありがたいことに、Twitterでは男性の方からも感想をいただいたりします。「マンガワン」という媒体自体、読者の男女比が7:3くらいのようですから、少なくはないんじゃないでしょうか。当初から担当さんと、女性に攻められたい男性も読んでくれるかもね、というような話はしていて、だからこそ女の子はすごくかわいく描こうと意識していたんですけど、ふたを開けてみたら、一般的な少女マンガを読むような、ライトな女性読者が多かったんです。