小学生のときから「女の子っぽい」言動でからかわれ、中学、高校時代に好きになった相手に恋心を伝えられない……。 そんな一人の青年の恋愛と成長を描いたノンフィクションのコミック『僕が夫に出会うまで』(原作・七崎良輔、漫画・つきづきよし)。

 一部の話はTwitterで5.1万リツイートされ、「読んで朝から泣きました」「エッセイが元だけあってリアル」「じんわり、切なく、そして、温かい気持ちになりました」と多くの読者の共感を呼びました。累計4,300万PV(2021年2月時点)を突破した、大反響の作品になっています。

担任の先生の一言で、自分は「ふつうの男の子ではない」と気づかされた

 小さい頃から「女の子っぽい」仕草で周囲にからかわれながらも、自分はふつうだと信じて疑わなかった男の子、七崎良輔くん。小学2年生のホームルームの時間で、その考えは打ち砕かれます。

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『僕が夫に出会うまで』第1話より。© 文藝春秋

 彼を前に立たせた担任の先生は、

「七崎くんって『オカマ』なのかな? 先生は七崎くんのことを『ふつうの男の子』だと思うんだけど、どうしてみんなは七崎くんのことを『オカマ』って呼ぶのかな?」

 と問いかけます。それに対し、「ふつうの男の子だと思います」「オカマじゃないです」と答えるクラスメイトたち。

『僕が夫に出会うまで』第1話より。© 文藝春秋

 ふつうの男の子であれば、ふつうの男の子であるかなんて議論はされない――。
この経験から、彼は自分が「ふつうの男の子ではない」という考えに縛られ、「ふつうの男の子」を装うようになります。

『僕が夫に出会うまで』第1話より。© 文藝春秋

 クリスマスプレゼントに何が欲しいかを母親に訊かれても、本心を隠すように。本当は魔法少女のスティックが欲しかったけれど、それを口にすることはありませんでした。