1ページ目から読む
4/6ページ目

迷いながら丁寧に──エロコメとの違い

──描くうえで未だに迷いはありますか?

 たくさんあります! もっと簡単に話が起承転結するエロコメみたいなノリで描けばいいのかなと思ったこともあったんですけど、いろいろ悩んだ結果、作品自体もああでもない、こうでもない、って迷い悩む話になってしまいました(笑)。でも、簡単に答えが出せる類のことじゃありませんしね。読者のみなさんにはいっしょに迷っていっていただけたら、って思っています。

──そうした中でも、これだけはやってはいけないと、気をつけていることはありますか?

ADVERTISEMENT

 美月が攻めているだけだと、篠宮があまりにもなにもしなさすぎる、っていう印象になってしまって、もっと言うと風俗のプレイのように見えてしまう危険性があると感じていました。美月が「攻めさせられている」というように見えてしまったらいけないなと思って。結局女が男に奉仕するマンガじゃん、みたいには思われたくなかった。だから2巻の第11話では篠宮に「自分も触れたい」と言わせたりとか、3巻に収録予定の第18話では「尽くしたい」と言わせたりしました。一方が奉仕するようにはならず、お互いがそうしたいのだからそうする、という関係性で描きたいんです。

「女の子が抱いちゃダメですか?」

──篠宮のそのセリフには1巻の美月の「別に優しくないですよ。好きだから攻めてるだけ」というセリフが呼応していますよね。

 そう言っていただけるとうれしいです。

「女の子が抱いちゃダメですか?」

──ややもすると痴女モノのポルノになるところを、うまくバランスがとれているのは、先生のそうした誠実さゆえだと感じます。エロマンガに対する批評というか、パロディにもなっていますよね。

 それはすごい考えますね。少女マンガでも青年マンガでも、読みながらこれは性別が逆だったらどうなるのかなと考える癖がつきました。