作家デビュー20年目を迎え、最新作『ブルースRed』を刊行した桜木紫乃さん。累計150万部越えの『エロスの種子』の著者もんでんあきこさんとは、ともに北海道出身。縁あって『ブルース』のコミカライズをしたもんでんさんと桜木さんが、「愛とエロス」について熱く語り合った。(全2回の2回目。#1より続く)

新作『ブルースRed』は娘・影山莉菜の物語

んでん 『ブルース』から、新作『ブルースRed』の刊行まで7年が経っています。影山博人と8人の女を描いて、今度は、博人とは血の繋がらない娘・影山莉菜の物語。難しさはありましたか?

新作『ブルースRed

桜木 30枚ずつ、10話を積み重ねていったので、時間はかかってしまいましたね。

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 影山博人が、ひたすら陰を歩いている男だとしたら、博人と血の繋がらない娘・莉菜は、死に場所を求めて、年を重ねていく女。博人の一粒種の武博は、光の当たる道を受け持っている。

もんでん 武博は、影山博人がなりたかった「男の理想形」になっていきますね。

桜木  そして、博人、莉菜、武博と、血の繋がらない親子三代の物語なんです。「親子何代」という話がよっぽど好きなんですね、私は。

もんでん 初めての絵本『いつか あなたをわすれても』(集英社/絵・オザワミカ)でも、母と娘、祖母という親子三代の物語を書いてらっしゃいますね。

桜木 そうなんです。いろいろと、親と子の話を書いてきて、最近、「子供は親を選べる」とはっきりと言い切れるようになってきたんです。自分を産んでくれた人も親。自分に生きていく術を教えてくれた人も親。そして、私たちは、親という存在を飛び超えていけるはずだ、と。そんなことを模索しながら、小説を書いている気がします。