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人生のギフト
桜木 『ブルースRed』の第5話「始まりの月」という話があって、ある男性が莉菜を抱いて去っていく話があるんです。莉菜は重いものを背負ったり、降ろしたり、いろんな感情に襲われるんですけれど、この短篇を書いたときに、『ブルースRed』は最後まで書けると確信しました。
もんでん 博人に抱かれなかった莉菜にとって、人生のご褒美があるとすれば、あの場面です。ウキウキしましたよ、読んでいて(笑)。
桜木 ご褒美って『ホテルローヤル』(集英社)では、大人のおもちゃに使われていた言葉なんです(笑)。ほかの言い方ないかな?
もんでん ギフトはどうですか? 一生に一度のギフト。
桜木 それ、いいですね。ギフトといえば、もんでんさんとお仕事ができて、嬉しかったことがあるんです。この記事でも書影が出ると思いますが、コミカライズの『ブルース』上巻のカバーの絵を見た時に感激したんですよ。小説には、そんな場面はなかったですから。
もんでん 実は、予告用のカットで、指を6本描いたら、編集部から「ダメ」と言われてしまったんです。だけれども博人の指が6本あったということは、とても重要なファクターです。そんなこんなしているときに、知人から「知り合いにも指が6本ある人がいて、いつも包帯をしていたらしい」という話を偶然聞いていて、これしかない!と。
桜木 何かに導かれている話ですよね。『ブルースRed』のラストシーンの場所を、遥か遠い場所にしようと決めた時に、なんとなく、もんでんさんに連絡したら、なんとその場所にいらして。祝福されているなぁと思ったことを覚えています。