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「自分にとって小説って、インモラルなもの」
もんでん 毒親などという時点で、親という存在に縛られているんですよね。
桜木 そんなことを言う暇があったら、さっさと親の腹から出てしまえ!と思うの。エロスに紛れて、『ブルース』『ブルースRed』ともに、そんなことも伝えられたらいいなと思っています。もんでんさんも、エロスに紛れて、似たようなことを言っているんじゃないかなぁと思うんですがどうですか?
もんでん 通底している部分が、桜木さんとはある気がします。
桜木 私は、極端に夢がありすぎたり、正義感にあふれている小説を読むのが辛いんです。自分にとって小説って、インモラルなものなんです。だから真正面から正義を語っちゃいけない。小説は人を許すもので、作者は人を許せなくちゃいけないって教わってきました。
もんでん そういう意味で言ったら、新作の『ブルースRed』には、大いなる許しがある。
桜木 ありますか?
もんでん あるある。相当許さないと、あのラストシーンはなかったと思います。
莉菜は、釧路で博人を死なせてしまった。その釧路にこだわって、釧路で暮らしますよね。『ブルースRed』は、重い十字架を背負った莉菜が、それを降ろすまでの物語です。
桜木 莉菜が釧路にいたのは、自分への罰です。
もんでん その罰から逃れることができていたなら、莉菜はどんな風に生きたんだろうか、と想像すると切ない。莉菜が背負ったものは、とてつもなく重いけれど、その重さがあったから、ポテンシャルを発揮できたんでしょう。